2月28日(日) 尊師ジャグデッシュ

インドで布づくりに励んでいる真木千秋からのメール。
今回はアシスタント・ジャグデッシュの登場だ。
ジャグデッシュは三年ほど前から機場のアシスタントとなり、真木千秋の手足となってよく働いてくれる。

文中「パンディッジ」という言葉が出てくるが、これは「pundit ji」の略。
「pundit」というのは「先生」、「ji」は敬称。すなわち「尊師」みたいな意味だが、これはつまり彼がヒンドゥー教のバラモン階級に属するからだ。
ぜんぜん尊師じゃなくても、この階級に生まれつくと、みなにそう呼ばれるらしい。
カースト制によれば、第一階級が僧侶階級のバラモン、第二が武士階級のクシャトリア、第三が商人のヴァイシャ、第四が農民のスードラとなっている。
まあ、Makiの機場では関係ないが。
ニルー家も第三階級だが、そこに雇用されているわけだし。そして織師たちはイスラム教徒だし。

   ジャグディッシュもがんばっています。毎日毎日真木千秋と織師の間をとびまわって仕事しています。
 今日もお茶に行こうとしていた織師デルモハマドを説得して、「早くサンプルを織るように」…などと言ってました。
 細かいヨコ糸の指示や、微妙な色の違いもよく見て理解してくれます。糸をそろえて織り師に渡す仕事やら、タテ糸をつくるときには実際に糸を一本ずつ私が選んでジャグディッシュに手渡すと、整経機に入れこんでタテ糸職人パシウジャマに何本取りかなど伝えます。パシウジャマとも気を合わせてやってくれています。
 織師たちからパンディッジと呼ばれ、私からも呼ばれ、いつもいつも大忙しです。

2月16日(火) 

明日から2月スペシャル

 

 節分を過ぎたと言えども、まだまだ寒く、訪れる人も絶えて無い竹林。
 こんな時だからこそ五日市に来てくれる殊勝な人のために、スペシャル品を多々取り揃えたのである。
 担当の酒井美和いはく;

 今回はがんばって充実させました。
 冬の暖かいジャケットやパンツ、スカートが20%〜40%オフで2万円代。
 これから春に着られる。きれいな色の麻とシルクのジャケットやパンツ、ワンピース、カディーの服も全て-40%で、1万円代から2万円代まで。
 少し難ありのベットカバー(60x220cm・定価59,850円)が30〜40%オフ。
 ストールも
種類色々。(シンプルストール8920円〜)
 小物類もお安くなってます。

 とのこと。
 なお、シェフのラケッシュが帰郷中なのでランチはないが、暖かい飲み物と菓子はある。すぐ近所の川縁に美味しいイタリアン、ちょっと先に和食「魚冶」も。ついでに温泉もあるし。
 セールは今月いっぱい。

 

2月8日(土) 平織の布

再びインドに赴いた真木千秋。
今度はデリーもすっかり春めいて、布づくりもずっと楽になった模様だ。
機場(はたば)から便りが届いたので、ご紹介しよう。

 

 グラムという名の、静かでありながらとても手のしっかりしている織師さんがいます。良い打ち込みをしてくれるので、前回の滞在から平織の服地を織ってもらっています。
 平織と言っても、杼(ひ)の数は五本。
 一本の杼の中には、様々な絹糸が3〜4種類引き揃えられて入っているという、かなり複雑なもの。
 その5本の杼をなるべく不均一に織ってもらうようにお願いしています。

  前回、良いところまでいっていましたが、今回インドに戻ってくると、織りがまた少し均一に…。
 そこで今日は、少し不均一さを出してもらうために小一時間私(真木千秋)も機の横に立って、「はい、次はギッチャーの太いほう、はい、次はタッサースパンとバンガロールの糸、はい、次はギッチャーの細いほう」.......などとブロークンなヒンディー語で
指示を出し、少し不均一さを覚えてもらうようにしました。
「ティーケ? パトラギッチャワラ、シルクワラ、ドゥスラギッチャワラ、バンガロールワラ........ティーケ?......トーク、トーク、ティケ?」というような具合に。
 不均一にすると今度は厚さが変わってきたりするので、そこを調整しつつ.......。

   この布は、平織りでもいろいろな異なったシルクを一緒に織っています。それで微妙に凹凸があって、風合もよく、厚みもあるので、パンツや、巻きスカートなどの春の服も作る予定です。スプリングジャケットなども。
 メヘンディ(ヘナ)やざくろで糸を染めてからの織りなので、春らしいモスグリーングレーのような柔らかい色合いです。
 お楽しみに。




1月23日(金) 布となって里帰り



 

 昨日、真木千秋が約一月ぶりにインドから一時帰国。

 今回の出張は大変だったようだ。
 帰国便にそれが象徴されている。
 デリー空港から成田空港まで、なんと40時間近くかかっている。
 かつてなかったことだ。
 今回はキャセイ航空を利用したが、濃霧のためデリー空港で11時間半待機。そのため香港の乗り継ぎが果たせず、香港でも一泊して翌々日の午後3時にやっと日本到着。

 デリー滞在中も連日霧に閉ざされ、寒くてずいぶん辛い思いをしたらしい。
 それでも頑張って、いろいろ新しいものを作ってきた。

 今日は一日自宅で静養するはずが、輝く陽光に誘われて、フラッと竹林に現れる。
 まだまだ寒い五日市だが、こんな日差しは一ヶ月ぶりだという。
 トランクを空けて、春の新作ストールを酒井美和に披露。

Chiaki(左側)「いろいろ作ってきたよー」
Miwa(右側)「わー、ホント」
C「インド行く前に、ここにずっと糸を置いてたでしょ」
M「ええ、生葉のうすブルーとか、黄緑とか、紅花のピンクとか…」
C「これはね、フクギで染めた糸がいっぱい入ってる。苧麻も入れたし」(黄色のストール)
M「春ですねー」
C「ほら、この黄緑のも見て」
M「わー、わりとシブいけど、よーく見るとスゴくきれいな色が入ってますね」
C「まだまだあるよー」

 昨年12月21日の記事でご紹介いた糸が、布になって戻ってきたのだ。
 今回は五点ほど新作を持ち帰ってきたが、まだ機(はた)にいろいろかかっている。
 二月に入ってまたすぐインド。
 束の間の日本を楽しむ真木千秋だ。


 
 

 1月9日(土) 天使の来訪

 ハギレ展初日。
 遠くの国から天使が舞い込む。

 いきさつはこうだ。
 真木千秋の母方祖父に、千野利雄という人がいる。
 画家であり、また折紙作家であった。
 その千野利雄画伯、かつて荻窪で折紙教室を開いていたことがある。
 その教室に通っていたというMさんが、今日、竹林にお客さんとして来訪。
 少女時代の四年間、千野画伯に親しく折紙の手ほどきを受けたという。
 花や虫や動物など、今でも三十点ばかり折れるそうだ。
 いずれも画伯のオリジナル。
 一枚の紙から、ハサミをつかわず、いろんなものを折り出す。

 そのMさん、今日見せてくれたのが、「天使」。
 A4のコピー用紙を使って、ほれこの通り。(左写真)
 ヨーロッパ滞在中に披露したところ、大好評だったとか。
 それを見たMakiのスタッフ、「私も、私も」と群がる。
 かくして仕事もそっちのけに折紙教室がスタート。
 なんでも折り鶴の変形だそうだ。

 そういえば真木千秋も祖父の遺産を受け継いでいて、いろんなものを折ることができる。(本人によると百種は折れるそう)
 今度オープンハウスの時など、折紙教室をやったら、という声も上がったハギレ初日であった。

 


1月8日(金) 霧のデリーより by まきちあき

 デリーは霧の中。
 今夕暮れで機場(ハタバ)からの帰り道です。菜の花畑がどこまでもどこまでも続いて霧に消え入ります。
 今日の経(タテ)づくりは、大切な紅花染めの糸、生葉+フクギの黄緑など。
 そのほか、ログウッドの薄紫やメヘンディのグレー。
 花や木や草の精と遊んだような気分です。
 タッサーシルクの座繰りの生成の糸と合わせて、小さめな春のストールの経をつくりました。
 数日前には久しぶりに二重ビームなんかもしっかり作っていて、やっぱりいいなあ……なんて言ってます。
 飽きもせず頬ずりしてしまう自分に苦笑いです。
 やっぱりなんといっても素材。ソザイ、そざいです。





 

 1月8日(金) 明日からハギレ市

 明九日の土曜から今年の初売り「ハギレ市」。
 冬晴れの中、展示の仕上げをする。
 左の写真。
 手前は大きめのハギレ。
 カゴの中には小さいの。
 大小合わせて四百点ほどある。
 奥に並んでいるのは福袋。

 私ぱるばは、まず柚子(ユズ)採り。
 今年は柚子のなり年で、ここ竹林の柚子もたわわに実っている。
 ハギレ市でゆず茶を出すという趣向。
 しかし、柚子の木というのは、鬼みたいにトゲトゲしているのだ。
 分厚い革手袋で作業したのだが、無防備の両手首はたちまち傷だらけになる。
 それにもめげず木に登って奮闘。
 人類の祖先は猿だということを実感する。
 スタッフ手製の柚子茶を試飲してみたが、まことに美味。
 来竹の皆さんには、正月でもあることだし無料でふるまいたいところだが、それだと有り難みがないので、賽銭として百円頂くことにした。

 下写真はコースター。
 Maki布のハギレから作ったもので、材質はウール×シルク。
 そのウールを手で揉んでフェルト化している。
 Maki布をフェルト化するのは初の試みだ。
 元の生地とはまったく違った風合いになる。

 





1月1日(金) 新春のご挨拶







 

 みなさん明けましておめでとうございます。
 おかげさまでMaki Textile Studioも、まあ大概において、つつがなく、新年を迎えることができました。
 今年はどんな年になるのでしょう。
 まったく先が見えないから、かえって楽しみでもあります。
 そもそも先なんて見えないもんだしね。
 今、真木千秋はじめ四名のスタッフがインドで仕事をしています。
 真木千秋から先ほど新年のメールが届きましたので、ご紹介します。

明けましておめでとうございます。
久しぶりに新年をインドで迎えています。
気がつくとまた土の上でウキウキしながら織物作りにいそしんでいます。

数日前に国立手工芸博物館でちょっとしたミニ手機を見つけました(写真左上)。
それを一緒に持ち歩いて、ちょこちょこ織りながら、織り師さんとの日々です。
朝から晩まで土の上にいます。
相変わらず、同じような営みの繰り返し。
でも同じではないのです。
「今年の味噌はこれこれの味だったねえ」みたいに。
タテ糸づくりも。
同じように見えるタッサーシルクや家蚕の糸も。
雨や太陽や風....気候の違いや、手によっても、ちょっとずつ違ってきます。
そして自分がどのような状態であるかによっても。

「手」の仕事。「手」つむぎの糸。「手」で染める、巻く、織る。
手でなければできない仕事。それを続けます。
目に見えないなにか — も織り込まれます。
今年はどんな色合いが出てくることでしょう。
どんな風合いが生まれるでしょう。
冬の間はしばらくインドの土の上でゆっくりと織物づくりに励みます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 左下写真は、「折り返し織り」ストールのヨコに使う糸。
 小さな手は、染師キシャンの娘の手。
 インドでの仕事の日々が続きます。
 とはいえ、気候風土が違うだけに、そんなにスムーズにはいきません。
 先日もスタッフZが地元料理を食べ過ぎて腹をこわし、数日床に伏したようです。

 私ぱるばは信州上田の実家で年越し。
 うっすら雪の積もった正月でした。
 9日からのハギレ市は基本的に毎日在店しますので、ヒマな人はお越しください。



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