初夏のストール  (2008.5.2記)

花霞(はながすみ)

 最近、黄緑色に凝っている。特にフクギの透明感ある黄色+藍生葉の蛍光のような黄緑色。
 茜で染めた多様な絹糸をベースにして、その黄緑色の糸や、フクギ+藍の緑色、生葉の水色、などをちらほら入れ込む。
 ムガシルク、タッサー生糸も引きそろえているため、微妙な凹凸感も。
 片側の太めの耳は藍の縹(みずはなだ)色、もう片側の耳は黄緑色。
 名手シャザッドが八本の杼(ひ)を使い分け、ヨコ糸を入れている。
 使っている糸は赤城の座繰り糸、春繭の座繰り糸、インドの家蚕、黄繭、タッサーシルク、ムガシルク。
 ちょっと再現の難しそうな一期一会的ストール。
 絹100%。55×180cm
価44,100円

 チビ折り返し織りカラフル

 最近ではとても気に入っているストール。
 フクギ×藍生葉で染めた黄緑色。それを黄色、別の黄緑、藍生葉の水色と合わせ、楽しげに配色。
 タッサーカティア(ベージュ)との素材感の違いも楽める。
 ほかにベージュ系、赤系など。なかなか染められない色だけれど、今回は20枚できあがり!
 絹100%。35×150cm
価31,500円

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春のカラフルストール  (2008.3.17記)

 年初にできあがったストール。
 インドの新春に咲き乱れる花々や若葉の色、夕焼けの朱色、朝もやの薄紫などの色を、気の向くままに混ぜて、タテやヨコをつくる。
 ただ、色がキレイというだけじゃダメ。糸のチカラが必要だ。存在感のある糸に染まり着いて初めて、その色も生きてくる。
 そんな春のストールをふたつほどご紹介。 

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艸格子(くさこうし)

 一見おなじみ艸(くさ)ストールだが、新たに試織から始めたニューフェース。
 色違いのヨコ糸を入れ、格子模様になっている。(写真では上部に見える)。立体的に見えるようヨコ糸の色配合に工夫している。
 二色あって、これは赤系(ラックやアカネを使用)。
 藍を使った青系も。
価35,700円

 花春(はなはる)

 有撚のタッサー座繰り生糸との出会いからできたストール。
 タッサー生糸はこのようにして引かれているが、今まで手に入ったのは無撚、すなわち撚りのかかっていない生糸だった。それをヨコ糸に入れて使っていた。
 今回、撚りのかかったタッサー生糸が手に入ったので、タテとヨコに使ってみる。写真、生成の部分がそのタッサー生糸。
 その生糸の間に、藍生葉、フクギ、アカネなどを使った緑・青・赤・グレーが入る。
 薄手だが座繰り糸によるふくらみが感じられる。織るのが難しく、織師が逃げ出すほど。
 真木千秋・春の自信作。
価37,800円



ウネ・ミックスの服  (2007.11.26記)

 ウネミックスというのは、Makiの布の名前。
 冬場に人気の「ウネ」というストールがある。これは一見するとシンプルなタテ縞のようだが、そのタテ縞をよく見ると左右に微妙にウネっている。それで「ウネ」。(左写真↓のあたりを参照)

 ウネミックスとは、そのウネ地に様々な平織をヨコ縞として入れ、変化をつけた布だ。
 タテ糸がウール、ヨコ糸がウールと細ナーシ絹。
 糸を飛ばして織っているので、ニットのようにふっくらした感じ。軽くて温かい。
 ベテラン織師のワジッドがジャカード機で織っている。
 その布を使って、服をいくつか作ってみた。
 色はどれも黒系とえんじ系の二色。
 「冬ごもりの布」展(竹林/12月15日〜)より登場。
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Jacket

エリを高くしても、広げても着られる。
他にフード付きバージョンもあり。
価44,100円
Pants
少し丈の短めなストレート・パンツ。
価42,000円

Vest

高目の丸エリ。
ふっくら襟元が暖かい。
価39,900円



ラック空羽  (2007.11.10記)

 インド特産の天然染料ラックを使った新作ストール。
 空羽(あきは)とは、タテ糸に疎密の変化をつけた織り方だ。

 タテ糸には中国柞蚕(さくさん)糸とムガ蚕糸を使用。
 中国柞蚕はインドのタッサー蚕と親戚筋だが、より光沢があり柔らかいのが特長。
 ムガ蚕は世界でもインド東部アッサム州にしか産出しない貴重な野蚕で、黄金色を呈する。

 ヨコ糸は、ムガ蚕糸に、同じく東部ベンガル州の黄繭糸、南部カルナタカ州の家蚕糸、上州赤城の節糸などを合わせ、六本の杼でランダムに織り込む。
 ラックの紫とムガ絹の黄金が、微妙な補色関係を演出。
 淡い色合いがエレガントな雰囲気を醸す。

 ムガ絹の収縮性と空羽織の構造によって、しゅくしゅくとした風合い。肌に心地良い。

 色は写真の紫系グレーのほか、もっとグレーの強い薄グレーもある。絹100%。
 織師:イスラムディン

58×200cm 価39,900円

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二重織ストール・黄緑補色  (2007.10.29記)

 二重織りとは文字通り、二重に織られた布。
 生地が二枚重ねで織られ、一枚の布になっている。

 色を重ねて楽しめる、透明感のある布を作ってみたい ― 。
 そういう気持ちから、黄緑に注目してみた。
 フクギの黄色と藍生葉を重ね染めした黄緑。
 それは他の染材からは出せない色で、どんな草木の色にも合う。
 そして、今回は特に補色の魅力に迫ってみた。緑と赤。草木による補色はキレイなものだ。

 二面あるタテ糸は;
 ・A面 アカネと藍生葉(写真上の中央部)
 ・B面 黄緑一色(写真中の中央部)
 そして、ヨコ糸は三色;
 ・左 アカネ
 ・中 藍生葉
 ・右 みずはなだ(インド藍の薄染め)
 中央部の両端でタテ糸が交叉し、A面とB面が入れ替わる。

 この写真のほか、ヨコ糸のパターンや色違いも含め、十種ほどのバリエーションがある。
 赤城の節糸、Maki手引き糸など、絹100%。
 織師:シャザッド

54×185cm 価42,000円

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二重ビーム・ミニストール  (2007.10.6記)

 1年前の新作紹介にもある通り、二重ビームとはタテ糸を分割して二重にする技法。それによって、ナーシシルクなど味のある手紡ぎ糸がタテ糸に使えるようになる。

 このミニストールでは、ヨコ糸もユニーク。
 再現性を考えず、いろいろな糸の組み合わせを自由に楽しんだ。
 たとえば太細二種類のカティア糸。これは家蚕の「きびそ」のような特色ある不均一な屑糸だ。いつも手に入るとは限らず、また毎回糸の様子も異なる、一期一会的な手紡ぎ糸だ。
 今回はこうした稀少な糸も、その特長を生かして使ってみる。(上写真・真木千秋の手先にある白っぽい部分)
 そのほかヨコ糸には、タッサーギッチャ糸、太細二種のナーシ糸といった茶系原色の絹糸をベースとして使い、そこに赤城節糸に染めを施したもの(藍・フクギ・紅露・茜など)をポイントに織り込んでいる。(左写真には藍が見える)

 今回、十種類のミニストールがお目見え。
 その中には、シンプルなものもあれば、12、3種類ヨコの織パターンを含むものもある。
 小さい中に豊かにテクスチャーが楽しめる。
 ジーンズと合わせてもOK。
 年齢、男女問わず。はじめての一枚としても楽しい。

25×145cm 価16,800円

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手紡手織シルク越中褌  (2007.6.6記)

 手紡ぎ手織り絹製・越中褌(えっちゅうふんどし)。
 一番長く肌に触れる布であるから、一番気持ち良い布を ― 。素材の宝庫インドで八年間にわたり研究を重ねる。(かつてこんなHPまで作る)
 その結果、選んだのがこの二枚。モトカシルクとタッサー格子。いずれも手紡ぎ(手引き)手織りである。

 下着生地として絹が優れていることは、その肌触り、吸湿放湿性などで明らかだ。
 ただ、機械織りの絹地(羽二重など)はイマイチ気持ち良くない。あまりに均一なので、肌にベターっと接触するのだ。その点、手紡ぎ手織り地は細かな凹凸により、肌触りが自然だ。
 また適度の摩擦があるので、締め心地が良く、羽二重のように型くずれしない。
 今回の二種のうちひとつ、モトカは、文句なく肌触り、つけ心地、最高。男子の珍宝を捧持するにこれに勝るものもあるまい。色は生成。(下写真・右側)
 もうひとつタッサー格子は、半練りのタッサー絹に綿糸で細かな格子を織り出している。綿が入っている分、モトカより厚手で丈夫。吸湿性に富む。色はベージュ。(下写真・左側)
 価5000円。

 褌というと??と思う方が大概だろうが、まずはお試しあれ。トリコになること請け合い。私も8年前の夏、ふとしたキッカケで着用して以来、西洋下着をつけられなくなった。



90cm幅のジャカード生地  (2007.3.19記)

 今までジャカード(紋織り)の生地というと、120cm幅が中心。
 このたび、お客さんやスタッフの声に応えて、90cm幅のものを作ってみた。
 90cmだと、部屋の間仕切りにもいいし、ソファがけやテーブルにも使える。

 素材は綿×タッサーギッチャーで、とても丈夫。
 同種の布は椅子張りにして10年たっても健在だ。(中村好文デザインの椅子。青山店にて使用)
 また、好評「椅子張りワークショップ」でも、この布は大活躍。

 織り師はベテランのワジッド。この布は広幅より織り易いので、仕事しながら歌声が聞こえてきそう。
 それでもヨコ糸はギッチャなので、注意が必要だ。両腕を広げて90cm分のギッチャを繰り出し、ていねいに杼(ひ)を入れていく。
 耳をとにかくキレイに織ってもらって、織物のすべてを楽しんでもらうように仕上げている。

 白と黒の二種。
 白は「テクチャ」という名前の生地で、7〜8種類の柄で構成している。
 黒は「ポット」といって、ペルシアの古い壺にあった柄を模している。このポット柄には白もある。
             9,450円/m

 
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パープルのストール  Purple Stoles (2007.2.3記)

 青っぽい紫のストールを二種ご紹介。
 この紫はラックで染めている。
 ラックというのはインド特産の天然染料。
 当スタジオで使っているラックはインド中部のチャッティスガール州産。

 左側が「デュピオン綾」
 右側が「ラックふわり青系」

 
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デュピオン綾

 デュピオンとは玉糸のこと。二頭の蚕が作った玉繭から繰られる絹糸で、太さが不均一。力のある糸だ。
 その玉糸を綾の部分に浮き出るように織る。

 綾織は三枚以上の綜絖を使って織られ、それによって斜めの織り目ができる。(例えばジーンズの織)
 このストールは地が平織で、綾がランダムに入っている。中写真をクリック拡大するとよくわかるが、ところどころに斜めの綾目が見える。

 このストールは特に、使い込むほど良くなる。玉糸に重みがあるので、使うことによって柔らかくなり、落ち感が出てくるのだ。
 ラックの紫、ザクロの焦げ茶などを合わせる。

 55×200cm 39,900円
ラックふわり(青系)

 下にあるラックふわり(赤系)の色違い。
 いろいろな紫が楽しめる。
 青紫、ピンク紫、薄グレー紫…。
 ラックという染料は媒染が同じでも、染めるごとに違った色目になる。
 そのそれぞれの色目ごとに、縞を作ってみた。

 この紫の陰影は染め色の違いのみならず、素材の違いにも由来する。
 たとえば、マルダ絹のみで縞を作り、その隣はバンガロール絹のみの縞という具合。
 素材ごとに風合いが異なるので、水をくぐらすと豊かなテクスチャが現れる。

 薄くふわりと羽織るように仕上げたかったので、ヨコ糸は細い糸が中心。
 
 55×180cm 39,900円  写真クリックで拡大




二重ビーム交ぜ織り  Double Beam Mazeori (2006.10.26記)

 Makiで昔から使われている技法「二重ビーム」。
 ビームというのは、タテ糸を巻く横棒のこと。
 ふつう、機(ハタ)にはビームは一本だけ。
 それを二本使って織るのが、二重ビーム。

 こうすることによって、タテ糸がからみにくくなる。
 それで、ナーシ絹糸などテクスチャーのある手紡糸がタテ糸に使えるようになった。

 この「二重ビーム交ぜ織り」ストールも、タテ糸にナーシ糸を使用している。
 ナーシ糸は水を通すと縮絨するので、布に細かな凹凸が現れる。

 写真をクリックすると拡大。
約10cmの間隔で三種の横ストライプがランダムに入る。
それで「交ぜ織り」。

これは、今回の新色である「生成」。
太ナーシ絹、ギッチャ絹、黄繭、麻などを使用。
厚みがあって使いでがある。

ジーンズの上などにバサッと羽織ったり。
赤ちゃんをくるんで肩から吊す人も。
黒系は昨年登場。
人気があるので、今回また新たに織り上げる

価格:31,500 各色




コート ふっくらえり  Coat Fukkura-Eri (2006.10.18記)

 

 襟元の暖かい秋冬用のハーフコート。
 すっきりしたAライン。
 たっぷりした大きな襟が特長。

 五種類の生地バリエーションがある。
 
 写真をクリックすると拡大。
襟の生地を少しよじり、布のふっくら感を出している。

生地:パストラル
価格:79,800

襟元にカラフルなストールを入れてみる。
パンツやスカートにも合わせやすい丈。

生地:プリア
価格:79,800

男が着るとジャケット。
(カップルで楽しめる)

生地:ハンド
価格:79,800




チビ折り返し織り  Chibi Orikaeshi (2006.8.23記)

 

 一年半ほど前から始めた織り方。
 「折り返し織り」とは真木千秋の造語で、技法的には「つづれ織り」。
 つづれ織りは普通、ゴブラン織のように模様を織り出すものだが、この「折り返し織り」は直線模様。
 左写真で見るごとく、左右で色や風合いがハッキリと異なる。
 まるで二枚の布をハギ合わせたような風情だが、一枚の布なのだ。

 ではちょっと専門的な話を。
 左写真の布の場合、まずタテ糸に工夫する。
 タテ糸をつくる際、左側には赤系の細糸を多用し、右側は太糸やベージュの細糸を使う。
 そしてヨコ糸を打つ時、左側から赤系の細糸を境界線まで入れ、また右側からはベージュの細糸やナーシ糸を境界線まで入れ、境界線のところで双方の糸を絡める。
 それによって、左右がクッキリ違ってくる。
 けっこう複雑な仕事なので、誰にでも織れるというわけではない。
 そこで真木千秋の選んだのがジャバール
 頭脳明晰で、几帳面な織師だ。

 現在織り上がっているのは、右写真にあるように、赤(茜+ビワ)、紺(藍)、水色(藍生葉)の三色。
 ヨコ糸の打ち方を変えることで、ガラッと表情が変わる。
 ナーシ、モトゥカ、中国柞蚕、赤城節糸、Maki座繰り糸など、様々な手引き糸を配合。

 「チビ」という名のごとく、小さくて首もとのおしゃれにちょっと楽しいストール。
 現在インド滞在中の真木千秋が、このストールの新色を作成中。
 どんなものになるかはお楽しみ!

 30cm × 150cm。27,300円。




ラック 「ふわり」  lac fuwari  (2006.8.2記)

 

 ラックとはインド特産の自然染料。
 貝殻虫の分泌物で、紫系の染料として古来より珍重されてきた。
 Makiでも三年ほど前から使い始める。
 ただ、今まではグレーや焦茶など、暗色系の糸と合わせてきた。

 一口に紫と言っても、媒染剤や染め方、糸の種類などで、赤味や青味など微妙な陰影を帯びる。
 そうした様々なパープルを、今回は赤系の色と合わせてみる。
 赤系は茜で染めている。
 茜にもまた様々な陰影がある。
 このようにラックと赤系を合わせるのは初めてなので新鮮だ。

 ラックと茜で染めたのは数種類の家蚕糸。
 そうした色とりどりの家蚕糸に、野蚕であるムガ絹と韓国柞蚕糸を交ぜて、タテ糸にかける。
 野蚕糸はともに極細で無染。
 ムガ糸は金糸、韓国柞蚕糸は銀糸のような輝きを持つ。

 ヨコ糸にも茜染めの家蚕糸と野蚕糸を配合。
 よく見ると、横縞とランダム部分が交互に入っている。
 それぞれの糸の縮絨率の違いにより、波紋のような細かな凹凸ができる。
 それが「ふわり」という名の由来。

 細縞の華やかな一品。
 写真は赤系。
 その他、ヨコ糸の配合の違いにより、紫系、グレー系がある。
 織師はシャザッド

 50cm × 170cm。36,750円。




モトカ格子 motka koshi (2006.6.15記)

 

 モトカとはインドの言葉で「甕」という意味。
 インドでは古来より、甕をひっくり返し、その丸い底で絹糸を紡んできた。
 それがモトカ糸だ。
 屑繭から糸をザッとズリ出し、甕の丸底で撚りをかける。
 生糸と比べると、ずっと太目で不均一な家蚕糸。
 柔らかで独特の質感を持つが、その不均一さゆえ、タテ糸として使用するのは難しい。

 今回はそのモトカ糸を、初めてストールのタテ糸として採用。
 (下写真・右下に見える白い糸がモトカ)

 そのほか、赤城とMaki の座繰り糸などをタテに使用する。
 座繰り糸は日印の草木で染めを施す。
 藍の生葉(水色)、八重山の紅露(赤褐色)、インド藍(濃紺)、ザクロ(黄)。
 ヨコ糸には、モトカ糸、ナーシ糸、カティア糸を使用。
 いずれも太目の手紡ぎ絹糸だ。
 すなわち、シルク100%

 カティア糸とはタッサーシルク版のモトカ糸。
 最近出会った美麗な糸で、オリッサ州(インド東部)の産。
 (写真下・褐色の太いヨコ糸がカティア糸)

 あるインドネシアの古布を参考にした、ストライプのパターン。
 中央部に草木染めの座繰り糸でカラフルなタテ縞を作る。
 ヨコは前述の三種の糸(天然色)でボーダーが入る。

 細幅で、短め。
 性別を問わない。(写真上のモデルは私ぱるば)
 やや肉厚で、服を選ばず、カジュアルに楽しめる。
 今までにない顔をした、手紡ぎの味わい豊かなマフラー。

 ヨコ糸の配合で、色は二種。
 上がライト系で、下がダーク系。
 銀座松屋展示会より登場。
 36cm × 160cm。28,000円。




花空羽 hana akiha (2006.6.2記)

 

 空羽(あきは)織の最新作。
 空羽織というのはタテ糸の密度を空疎にする技法。
 下の拡大写真でわかるとおり、タテ糸に粗密がある。
 それによってタテ方向に波打つような風合いが出る。

 「花」とある通り、鮮やかで透明感のある糸で織り上げている。

 使用した糸は、赤城の節糸、Makiの座繰り糸、黄繭糸、バンガロール生糸(以上、絹糸)、および苧麻糸。
 それを、日本およびインドで、赤系(ビワ、インド茜)、黄系(フクギ、キハダ、ケス、ザクロ)、水色(藍生葉)、緑系(キハダ×藍、キハダ×藍生葉)に染める。
 こうした多種多様な糸々を、タテ糸に通す。(写真下参照)

 ヨコ糸の配合により、三種のバリエーションがある。
 黄系(上写真・左側)、横ボーダー(上写真・右側)、赤系(写真下)。
 黄系のヨコ糸はキハダとフクギで染めている。
 横ボーダーは、ヨコ糸を赤(茜)と水色(藍生葉)で打ち分け、大きな横縞を作っている。
 赤系のヨコ糸は茜とビワ。
 それぞれ3〜4種のヨコ糸を使い、ランダムに打っている。
 こうした華々しい色づかいはMakiで初めての試みだ。
 千秋自身は、作業していてすごく楽しく、ワクワクしたとという。
 その鮮烈な色合いに、スタッフも衝撃をおぼえた模様。
 たとえば上写真の黄系など、私(ぱるば)から見るとショッキング・イエローで、ちょっとご遠慮という感じ…
 であるが、実際に着用すると、意外な発見があるという。

 名手シャザッドが手間ヒマかけ、一枚一枚たんねんに織っている。
 なぜ手間ヒマかというと、タテ糸に赤城とMakiの節糸(ふしいと)を使っているからだ。
 下写真に見るごとく、タテ糸に密度の混んだ部分がある。
 節糸という名の如くフシがあるから、それが引っかかって、思うように織り進まないのだ。
 五月中旬より各地の展示会および銀座松屋(6/20〜)に登場。

 約70cm × 200cm。44,100円。


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