いといと雑記帳 2003

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7月2日(水) 腰巻なる日々

 
養沢の谷にも蛙鳴蝉噪のシーズンが訪れ、パートタイム亜熱帯である日本も、いよいよ Koshimaking time に突入!

 ま、突入ってったって、男じゃ私だけなんだけど。
 私はインド人であるから、どうしても夏になるとルンギ(腰巻)が恋しくなる。
 それでひと月ほど前から腰巻生活を始め、いろいろ研究にいそしんでいる次第。
 現在、午前11時、竹の家にてこれをしたためているのだが、長さ200cmの綿カディ、長方形の腰巻をまとっている。
 幅は110cmで、昨夏、藍で染めたもの。
 自分で染めたという思い入れがあるせいか、比類無く美しい藍色だ。

 本HPを注意深くご覧になっている方なら、「あれ、ルンギって長さ225cmじゃないの?」と思われるかもしれない。
 その通り。
 実は私も、当初は230cmくらいに裁断し、染めて、着用していたのである。
 人間の胴回りは通常1mもないわけだから、ルンギの場合、残りの布は手前にまとめられることになる。
 それがあまりに多量になると、盛夏には暑苦しくなる。
 それで、去年夏、もったいなかったが30cmほど切り取って、200cmにしたのだ。
 これだけで暑さがかなり軽減したような記憶がある。
 コンパクトだから取り回しも便利だ。

 ルンギには、このように切りっぱなしの長方形のものと、両端を縫合した円筒形のものがある。
 長方形タイプは、言うまでもないが、汎用性に優れている。
 つまり、何にでも使えるということだ。
 昨年、南の島に遊んだ折、この長方形ルンギにはたいそう重宝した。
 腰巻としての用途のほか、敷布、掛布、頭巾、包み布、雨具、果ては噴煙よけのマスクにまでしたものだ。
 「布」としての存在感については、これに優るものもあるまいと思う。

 長方形ルンギ、特に200cmというコンパクトタイプの弱点は、前がはだけやすい点かな。
 しかし、考えようによれば、少々はだけるくらいなら、逆に艶っぽくて良いとも言える。
 たとえば、南洋の美しく健康な人々がこれをまとい、風に翻るその裳裾(もすそ)から健やかなる脚部が覗くがごときも、また妙なる風景と言えよう。
 これは老若男女を問わない。
 というわけで、少々脚が見えようと私は一向かまわないのだが…。
 ただ、健やかなる脚部を保つよう、日々の精進が肝要である。

7月18日(金) 国立公園

 
昼食にカレーが出た。
 日本風のカレーである。
 真木千秋が昨夜つくったものだ。
 中にナスが入っている。
 「お猿さんから分けてもらった」のだそうだ。
 まっこと、主客転倒な話である。

 今年の春、新しい畑を借りた。
 ウチのすぐ前だ。
 近くて便利!と思っていたら、お猿にとっても便利だったみたい。
 よく立ち寄っては、お食事していく。
 ナスなどは大好物で、ほとんど私たちの口に入らない。

 じつは畑はもうひとつ借りている。
 ウチから70mほど離れたところだ。
 そこにはあまり猿は出ない。
 なぜか!?

 ウチの前には小さな車道がある。
 先日、よーく地図を見てみたら、この道が国立公園の境界線になっているらしい。
 すなわち、この道から谷側が秩父多摩甲斐国立公園ってわけ。
 ウチは谷側にある。
 なんと私は国立公園内で寝起きしているらしい。

 新しい畑も国立公園内にある。
 もうひとつの畑は、道の向こうにあるから公園外。
 やっぱ自然公園だから猿も出るんであろうか!?
 お食事の好みは、ナスやキュウリにとどまらない。
 トマトやカボチャ、ジャガイモやダイコン、なんでもござれだ。
 ま、私と遺伝子がほとんど同じだしな。

 仕方がないから、新しい畑には、猿のお気に召さぬものをつくるほかあるまい。
 ニンジンとか、ピーマンとか、菜っぱ類とか、藍とか…。


7月30日(水) 谷間のカフェ

 今日はみなさんにお店をひとつご紹介いたそう。
 養沢の谷間にある小さなカフェ。
 ウチからいちばん近い食事処なんだけど、青山にあってもきっと行くだろうと思うようなところ。

 天使を意味する「アンヘル」という名のこのカフェ、かわいらしい姉妹が経営している。
 「気軽なヘルシー」を標榜。
 パスタ系が多いんだけど、肉の代わりに大豆が入っていたりして、豆好きの私にはありがたい。
 全部オリジナルのレシピで、味付けもウチの真木千秋に負けないくらい美味い。
 パンも全粒粉の自家製。

 ただ、場所があまりにもローカルでねえ。
 このへんのオジさんやオバさんたちには、ちょっとわかんないかもね。
 だから、いつ行っても空き空きなのだ。
 店じまいされたら困るんだよね。
 こんな店、五日市にはほかにないし。
 ワイン飲んで運転して帰っても、まず逮捕される心配はないし。(駐在さんとは友達なのだ)

 だから、みなさんにもぜひ利用してもらいたいわけである。
 行楽の行き帰りとか、あるいは秋にある「竹の家オープンハウス」の時とか。
 武蔵五日市の駅から6キロくらい。
 地図はこちら。乙津郵便局の向かい。

 バスで来るときは、武蔵五日市駅から上養沢行きに乗って、「軍道」という停留所のすぐ前。
 このバスも赤字路線で、いつなくなるかわからない。
 みなさんもぜひ乗ってやってください。
 バスの時刻表はこちら

 音楽の趣味がちょっと違うんだけどね。
 「ラルク」とかいうボーカルがよくかかってる。
 オレたち最近よく聴くボーカルは、ボチェッリとかチベットのお経とかだし…。
 (あんまかわんねーか)

 cafe Anghel「アンヘル」
 東京都あきる野市乙津2019
 TEL 042-596-2668 月木/休


8月3日(日) 愛玩動物

 昨日やっと梅雨が明けた。
 珍しく遅いから、ここに記録しておこう。

 さて、これを書いている私は「田中ぱるば」というんだけど、「ぱるば」という変な名前ゆえ、女なのではないかと思われる向きもあるようだ。
 いや、こちらにも見る通り、レッキとした男である。

 この「ぱるば」、芸名なのであるが、もともとはサンスクリット語で「祭祀」を意味する Parva に由来している。
 有り難い言葉なのだ。
 ところが、当スタジオではなんとなく軽便に扱われている傾向があり、まことに遺憾な限りである。
 これはひとえに、ここ十有余年、真木千秋がちゃんと「ぱるば」と言わずに、「ぱる、ぱる」と呼び慣わしていることに原因がある。

 真木千秋のみならず、たとえば当スタジオ専属キュレーターのN女史なども、私めに向かって「ぱる! ぱる!」と呼ばわる始末で、ほとんど犬畜生にも等しき待遇。
 最近は悲しいことにそれにもすっかり慣れ、「ぱる! 」と呼ばれると、反射的に「わん! 」と応えてしまう自分がある。
 まこと、パブロフの条件反射もここに極まれりである。
 
 もともと私には犬的要素があるようだ。
 東京・小金井にある真木の実家には、かつて「ラック」という雑種の老犬がいた。
 気の小さい雌犬で、ほとんど番犬にもならないような存在であったが、真木姉妹は帰省すると「ラック! ラック! 」と呼び寄せ、可愛がっていた。
 ところが、あるとき、私は耳にしてしまったのだ。
 真木千秋が愛犬に向かって、「ラック! 」というかわりに、「ぱる! 」と叫んでいるところを。

 それはまだ許せるとして、今度は私に向かって、「ラック! 」と呼びかけたりもする。
 どうやら真木千秋の右脳の中では、愛犬と私が渾然一体となっている模様。
 (ケンタウロスか人面犬か?)
 私の「わん! 」と応える条件反射も、思えばその頃に始まったのかも。
 その老犬も、天に召されて、はや六年。
 さすがに私も、もはや「ラック! 」と呼ばれることはなくなった。

 しかし安心するのはまだ早い。
 私には別の要素もあるらしい。
 一昨日、スタッフのひとりを連れて、我らがキッチン「魚冶」に出かけた。
 夕飯を食べながら、今後のインド出張のありかたなどを打ち合わせる。
 (余談であるが、ここ「魚冶」、五日市ではイチオシの食事処である)

 食事も終わり、女将のなっちゃんが出てきて食卓を片づけてくれる。
 なっちゃんとはいつもいろいろお話するのであるが、そのとき彼女の口から、「ウチのぱるが…」という言葉が飛び出す。
 「ん…なんのこと!?」と思う間もなく、なっちゃんあわてて、「あ、いや、うちのピッピがね…」と言い直す。
 ピッピというのは、この家の愛猫のことである。

 そっかー、今度は猫かぁ…。

 練習しとかないとな。
 と、サービス精神旺盛な私は考える。

 にゃん!

 う〜ん、やめとっか。
 ちと気色悪いかも。
  

9月23日(火) 本日のスペシャル・ドリンク

 新井展初日の今日。
 私ぱるばは福引き係である。
 福引きテーブルは店の外にしつらえてあるから、今日みたいな日は気持ちいい。
 その陽気に誘われて、さきほどは散歩がてらに、近所のスターバックスへ行ってきた。
 実は最近、また特製ドリンクを発見したのだ。
 というか、無理やり作らせているのかも…。

 その名も、リストレットソイラテマッキアート。
 ま、一回じゃ憶えられないだろなー。
 これは私みたいなお子様には好適で、かつ、スタバの中では一番のヘルシーメニューであろう。

 名前は壮絶なのだが、実体はすこぶる単純。
 豆乳にエスプレッソをちょっとだけ垂らすのである。
 すなわち、ほとんど豆乳。

 ただ、あまり注文する人もいないらしく、メニューにも載っていない。
 だからいつもレジでひとくさり演説する必要があるのである。
 (逆に取られると悲惨なんでね…。普通マッキアートというと、エスプレッソが主で、そこに少々ミルクを垂らしてある)

 しかしいちいち説明するのも面倒なので、そのスペシャル・ドリンクを注文した後、参考のために「これなんという名前?」と聞く。
 すると、レジの女の子、知らないらしく、傍らの先輩の顔を見る。
 その先輩が、う〜んと考えながらひねり出した名辞が、「リストレット・ソイ・ラテ・マッキアート」というわけ。
 (全部イタリア語だからちょっと判じ物だけどね。ソイというのは大豆という意味)
 もちろん私も一回では憶えられなかったから、ペンを借りてしたためたのである。

 これはとってもおススメのドリンクで、みなさんも一度お試しになるとよかろう。
 ただ、なんせバリバリの先輩もやっとひねり出すような名前だからな。
 新米の店員には通じないかも。
 (ちょっと高目だし…。small : \330)

 お互い忘れないよう、明日もまた散歩がてらに注文しよう♪


9月30日(火) クッキング・ガイド

 この私(ぱるば)がクッキングの指導なんて空前絶後のことであるが…。
 なにしろ、ポッキン・カレーくらいしか作れない人間であるし。
 (ポッキン・カレーとは、カレールーをポッキンと折って入れる、いわゆるインスタントカレーの謂いである)

 今朝のこと、畑から採ってきたルッコラやサニーレタスなどをサラダにして食した。
 ドレッシングはマヨネーズ・ベースであった。
 ところが、ルッコラの苦みが強く、真木千秋が少々ヘキエキしている。
 そこで私が、「酢を入れたらいいんだよ」とアドバイス。
 ビネガーを少々垂らすと、あーら不思議、苦みがとぶのである。

 なに、中学・理科の簡単な応用である。
 すなわち、苦みの素である水酸基(OH-)は、酸である水素イオン(H+)と化合して、水(H2O)になる。
 というわけで、苦いルッコラにビネガーをかけると、最初は酸っぱいが、そのうち、酸くも苦くもなくなるのである。

 「そんなこと料理の本に出てるだろう」と言うと、「聞いたことない」と言うので、ご参考までに書いたというわけ。

***

 ところで、先日書いた、リストレット・ソイ・ラテ・マッキアートの話。
 あれにはまだ続きがあるのであった。
 (実はこの話、約一年前から飽きもせず展開しているのである)
 一昨日、浅草まで新井氏を見送りに行った後、駅の隣にあるスタバで、ほとんど同じ味の飲み物を発見したのだ。
 その名も、「リストレット・ソイ・ラテ」

 「なんだ、『マッキアート』がないだけじゃないか…」
 そう、その通り。
 このマッキアートの有無には、いかなる意味があるのであろうかっ!

 その点を店員に問い質したところ、答えは以下のごとくであった。
 マッキアートじゃない方は、最初にエスプレッソを入れ、その後に豆乳を入れる。
 マッキアートの方は、最初に豆乳を入れ、しかる後にエスプレッソを垂らす。
 すなわち順序が前後するわけだ。
 ちなみに、マッキアートとは「汚す」という意味だそうだ。すなわち豆乳をエスプレッソでちょっと汚すわけ。

 さて、この前後の逆転が、果たして風味に影響するのであろうか。
 ちなみにその日は、試しに、マッキアートじゃない方を注文してみる。
 う〜ん、なんとなく、マッキアートの方がウマかったような気がしたけど…。
 しかし配合の度合などいろんな要素があるだろうから、まだ研究の余地があるであろう。

***

 さてその新井氏。
 じつはひところ、大病を患ったのである。
 それで真木千秋などもたいへん心配していた。
 しかしこの展示会に歩調を合わせたように、どんどん元気になっていく様子。
 たとえば青山の展示会場には、最初の二日間だけ来廊の予定だったのが、中日の土/日にも来廊してお話会を開き、更には最終となる10/1〜2日も来廊とのこと。
 やっぱり人間、楽しいことをしていると健康も増進するのであろう。

 我々も負けないよう、明日・明後日と青山に出動だ!
 (ホント、新井氏も我々も、プチ上京という感じなんだけどね)
 残り物には何とやらで、明日・明後日と、ご購入のお客さん全員(先着各40人だけど)に巨峰をひとふさ進呈!という企画もあるので、まだ来ていない人はぜひこの機会に。


10月8日(水) BAFUN

 …な〜んてローマ字で書くと、どっか青山かなんかの Shop と思うかもね。
 (思わないか)。
 そいつがさきほど、真木テキスタイル公用車でウチに到着したのである。

 スタジオの近所に、整体師の一家が住んでいる。
 真木千秋もよくお世話になるんだが、その彼が農業大好き男なわけ。
 で、客がいなくてヒマなときは、いつも畑を耕している。
 その彼が昨日、ウチの公用車(すなわち軽トラ)を貸してくれという。
 どうするのかと聞いたら、馬糞を運んでくるという。

 馬糞か〜。そいつは初めてだな。
 鶏糞とか牛糞は、私も買ってきて畑に入れたりするのだが ― 。
 なんでも、吉祥寺にある成蹊大学の馬術部からもらってくるのだそうだ。
 それでウチもおすそわけにあずかったという次第。
 実物を見ると、黒褐色でサラサラと発酵しており、良い堆肥になっている。
 これを冬の間に畑にすきこんでおけば、来年にはきっと良い作柄に恵まれるであろう…。

 しかしなあ、馬糞にせよ、牛糞にせよ、鶏糞にせよ、ヒトサマの糞を、カネと手間暇かけて畑に入れるんだもんな〜。
 で、自分の糞は、またカネと手間暇かけてヒトサマに処分してもらうわけだ。
 ちょっと複雑な気持ち。
 かつては江戸の市中に、近郊の農家が下肥を買いに来ていた。
 貴重な資源だったわけだ。
 だから町人たちもみんな、できるだけ自分の家で用を足すようにしていたらしい。
 古き良き循環社会…。

 …と言いつつ、なんか腰に鈍痛が。
 さっき運んだ馬糞がかなり重たかったから、ちょっと腰に来たのかな。
 循環社会への道は険しい!?


10月18日(水) 干物のいろいろ

 今、信州上田、私ぱるばの実家に滞在中。
 秋晴れの空の下、色づき始めた山の木々が美しい。
 七十五歳になる私の父親は最近、巨峰づくりに情熱を燃やしており、まあ私もしょうがないからつきあっている。
 諸方にご進物としてお送りさせていただいたりして。

 その返礼かは知らないけれども、輪島の塗師・赤木アキト宅から干物が届いた。
 フグ、タイ、カマス、アジなど、どっさり。
 普通は工房スタッフと山分けするのであるが、上田に来る直前だったんで、これはちょうどいいとウチで独占し、手土産がわりに持参したのである。
 そうすれば母親に焼いてもらって、労せずして賞味できる。
 信州は山国だから、こうした産物は珍しいのだ。
 よく雑誌などでも紹介されるのだが、赤木家の食卓には、いつも地の海産物が並んでいる。
 昨年、展示会のため泊めてもらったときにも、朝からいろんな魚介が供されて、豊かな食生活だな〜と感心したものだ。
 そんな赤木氏が自ら市場で買ってきた干物だから、不味かろうはずがないのである。

***

 ところで、実家には、ポチという柴犬がいる。
 ほんとうはネオという名前だが、面倒だからそう呼んでいる。
 ちょうど成犬に達した、元気いっぱいの雄犬だ。
 別所・野倉の名物喫茶パニにいる雌犬「フキ」の弟にあたる、由緒正しき柴犬(らしい)。

 いつも散歩に連れてってやるので、私にもよく慣れている。
 今朝も冷涼な空気のもと、七時から外に連れ出す。
 雷山のふもとを巡り、帰途につくと、とある納屋に走り込む。
 そして、ちょっと興奮の体で、褐色の物体をくわえて出てくる。
 枯草の束かと思ったが、よく見るとそうでもないらしい。

 小径のまんなかで、ポチが一心不乱にかじっているその物体 ― 。
 どうやら猫のミイラらしい。
 どうしてまたウチのポチが、こんな塵芥にまみれたキタナい遺骸を…
 食うに困ってはいないはずなのに…
 と、しばし唖然。
 しかし、思えば私も珍しい魚の干物を賞味していたわけである。
 ポチにとっては、猫の干物もまた、さだめし珍味だったのであろう。
 それで日向ぼっこしながら、五分ほどつきあってやった。
 これで一食分、浮いたかな。
 と思ったが、あとでちゃんと朝飯は食っていた。

***

 さて、車にモノを満載して、またこれから一路、五日市へ。
 その「モノ」の大部分は、じつは藍草の干物である。
 夏にここ上田で藍の生葉染めを行ったのであるが、その際、藍草が大量に余ったのだ。
 それを父親に乾燥してもらったのである。
 その藍草の干物で、いずれスクモづくりに挑戦だ。
 しかしその前に、藍草から藍の葉をちぎり取らねばならない。

 「そうだ、竹の家でお客さんにやってもらおう」と真木千秋。
  ナニ、お客さんに!?
 「うん、きっと楽しいよっ

 こういう赤いハートがつくときは、けっこう自信があるのである。
 わざわざ電車賃かけて来てもらって、無料奉仕してもらおうってんだからね。
 なかなかないよねー。
 というわけで、ぜひみなさん、来週末は竹の家へ藍草をちぎりに来てください。


11月1日(土) 特選お食事処 in 青山

 本ページ7月30日にご紹介した谷間のカフェ・アンヘル、どうも店じまいしちゃったらしい。
 一年ともたなかったなあ。
 重宝していただけに、まこと残念。
 推測される原因はズバリ、客の不入りであろう。
 人跡稀なる五日市・養沢谷という立地上、難しいかも…と危惧はしていたのだが。

 であるからして、お気に入りの店はどんどん利用して、盛り立ててあげる必要があるのである。(Maki Textileも!)
 というわけで、今日は、青山で私たち行きつけの食事処をご紹介しよう。

 名前は「EX・LOUNGE」、中国名を「樓雲記」という。
 その名から察せられるように中華料理。
 美味、安価、ハイセンス ― 三拍子そろった私たちのお気に入りである。
 お客さんの接待も、最近はもっぱらここ。
 昨夜も、展示会で青山入りした安藤明子さん&雅信氏(陶芸家)の夫婦とともに、夕食を楽しんだ次第である。

 ひとりでもグループでもOK。
 定食であれば千円ちょっと。
 バラエティーも豊富だ。
 一番安い「雲龍麺」(すなわちラーメン)も、本品のほかに漬物・デザート・中国茶ポットがついてきて、私などじゅうぶん満腹。これで税別680円は青山では貴重である。

 コース料理も充実。
 お勧めは「ヘルシー野菜コース」(2800円)。
 おいしい野菜 dish がいろいろ出てきて嬉しい。(昨夜は最後にチキンを使った料理が出たが)
 同価格帯に「レディース・コース」というのもあるが、レディーではない私にも食べきれないほどたくさん出てくる。

 場所は表参道駅とMaki 青山店の中間くらい。
 すなわち、青山通りから骨董通りに入り、小原流会館を過ぎて左折、南青山会館(農水省会館)を過ぎたあたりで右に入る。
 ちょっと奥まった所にある、知る人ぞ知るの店である。
 二階はギャラリーになっていて、様々な展示が行われている。
 地図はこちら

 営業時間:11:30〜22:30
 定休:日曜祭日(すなわち明日/明後日は休み)
 港区南青山5-4-44 南青山シティハウス TEL 03-349904267


12月10日(水) 繭袋の使い方

 竹林日誌10月26日掲載の写真に出てくるケヤキの葉っぱ、もうほとんど散ってしまった。
 大木が約四本あるから、その落ち葉もハンパな量ではない。
 そこで私がかき集めては、Maki Textile 公用車(すなわち軽トラ)にめいっぱい積んで、ウチの畑へと運ぶのである。
 今日で今年三回目。あらかたキレイになった。

 竹の家から約6km。ここ養沢の畑に軽トラを乗りつけ、一輪車を使って落ち葉を下ろす。
 すると、みっちゃんが声をかけてくる。
 「いい落ち葉、運んできたね」
 みっちゃんというのは、近所のおじさんである。
 もう七十は過ぎているだろうか。
 山や畑で仕事をしている人で、私もいろいろ教えてもらっている。
 「うんと良い肥料になるんだヨォ
 なぜ「ヨォ」を強調しているかというと、この部分にアクセントが来るのが当地の言葉、五日市弁なのである。

 じつはみっちゃんも、私の畑のすぐ隣で、落ち葉の堆肥を作っていたのだ。
 葉っぱの量もウチより多い。
 どこから持ってきたのか聞くと、山を越えた八王子の街路樹や霊園のものだという。
 わざわざそんなところからもらってくるのだから、ウチは恵まれていると言えるだろう。
 「袋にいっぱい入れてくるんだヨォ」とみっちゃん。
 確かに、落ち葉というものは、軽トラの荷台に直接積むより、袋に入れたほうが、ずっと扱いは楽だ。
 「大きな袋があってさ」

 みっちゃんはどうもその袋が得意らしい。ひとつ引っ張り出して、私に見せてくれる。
 繭袋だったという。
 なんでも、すぐ近所の「十里木」という場所に、大きな製糸工場があったそうだ。
 二百人くらい女工さんがいて、遠くは福島あたりからも来ていたという。
 終戦後、その工場が廃業したので、不要になった繭袋をもらってきたのだ。
 繭袋というのは、養蚕農家から製糸工場へ繭を納めるときに使った木綿の袋。
 かなり大きな布袋だが、それでも落ち葉用には小さいので、二つ三つ縫い合わせて、大きな袋を作ったのだと。
 そんな袋が二十もあるという。
 かれこれ五十年も使っているわけだ。
 私もいくつか欲しい。
 なんでも、製糸工場にはそうした繭袋がいっぱいあったのだが、廃業時にみんな燃やしてしまったのだそうだ。
 う〜ん、もったいない。

 前回、畑で落ち葉を下ろしているときには、山際の畑のおじさんに声をかけられた。
 もう八十を越えた老人だ。
 いろいろ話を聞いていると、このおじさん、インパール作戦の生き残りだという。
 インパールといえば、インド東部・マニプール州の州都。
 かつて帝国陸軍はインドまで攻め込み、そして潰滅的打撃を蒙ったのである。
 インパールから生還するとは、よほどの強運。
 このおじさん、かつて村中総出の行列に送られ、製糸工場のあった十里木からバスで出征したのだそうだ。

 こんな静かな山里だが、いろんなことがあったのだ。

 (ついでに言うと、かくして攻め込まれたインドであるが、極東軍事裁判の折、連合国の中で唯一、日本に無罪投票してくれたのがインド代表であった)


12月13日(土) インセンス・ギャラリー in 青山

 青山にはいろんなギャラリーショップがある。
 その中で私がよく行くのは、ロウソクのギャラリーとか、石鹸のギャラリーとか、一風変わったところなんだが、今日はインセンスのギャラリーをご紹介しよう。

 名前は「lisn」。
 というと、もうご存じであろう、お香の老舗・松栄堂(京都)の展開するインセンス・ブランドである。
 ひらたく言うと線香なのであるが、仏壇から切り離して楽しんでもらおうということで、インセンスという英語を使うんだそうな。
 この「lisn リスン」という名称、もちろん「香を聴く」というミヤビな表現にちなんでいるのだが、「listen」という英単語中の不要な「te」を省くあたり、松栄堂の言語感覚もなかなかであるらしい。

 この lisn 、現在Maki 青山店で展示会中(12/12-21)の三谷龍二氏や、京都の更紗店 isisとも深い縁があるのである。
 たとえば三谷氏は、 lisn のためのインセンスホルダーやトレーを作ったり、「古楽器シリーズ」というインセンスの誕生に関わっている。
 この lisn のインセンスは、長さが約7cm。燃焼時間が15〜20分。
 これは現在の都市住宅環境、すなわち、気密性が高くて手狭な部屋に、よくマッチしていると言えよう。
 
  現在150種ほどのインセンスがあるそうだが、一本一本バラ売りで買えるのがこの店の便利なところ。
 一本30円から50円が最多価格帯。
 ちなみに私の好みは、「練香だち」と呼ばれる、古風な趣のあるもの。
 これは一本50円。
 練香に似たカオリが手軽に楽しめる。

 中にひとつだけ、一本1200円という飛び抜けて高いのがある。
 No.100K「KYARA」というやつ。
 その名のごとく、伽羅100%だという。
 清水の舞台から飛び降りるつもりで、今日それを一本買ってみた。
 (ちなみに、 lisn のパッケージングはなかなか洒落ているのだが、この「伽羅」は更に別格のようで、たった一本でもガラスのケースに入り、更に黒い箱がつく)
 Maki青山店に持ち帰ってお客さんに見せびらかしたところ、ぜひ匂いを嗅いでみたいというので、引くに引かれず火をつけてみたのである。
 これは実に高雅なかおり。
 私の持っている安物の「伽羅系」のものとは、やはり純度が違うようである。
 18ミリ焚いたところで、もったいないから消火した。
 これだけでもギャラリー空間に、しばし伽羅のゆかしき残香がたゆとうのであった。
 本家の松栄堂には「正覚」なる一箱三万円也の目ん玉飛び出るがごとき伽羅の線香があるが、きっとこのようなものなのであろうか。
 明日曜日も私は在廊するので、伽羅の香りを聴いてみたい方がいたら、お申し出いただきたい。

 また、三谷氏の関わる「古楽器シリーズ」の中から、リュート、ヴィオラダガンバ、パンパイプ、ポルタティーフオルガンの四種も買ってみる。
 いい機会だから、これも明日、試聴しようかと思う。

 リスン青山店 渋谷区神宮前 5-47-13-202 TEL 03-5469-5006 11:00-19:50 水曜定休
 最寄り駅:地下鉄表参道・青山通り「無印良品」の角を曲がって100mほど行った左側二階。地図は
こちら


12月24日(水) くつした

 メリー・クリスマス!
 ま、私にはあまり関係ないのだが、何であれ機会をとらえてお祭りするのは良いことだ。
 幼少のみぎりには枕許に靴下など置いて寝たものだが。
 (そして、朝起きて何も入っていなかったりすると、子供ながら現実のキビしさをひしひしと感じるのであった…)

 ところで小生、靴下と褌だけはゼイタクをして、絹をば使わせてもらっている。
 靴下は、絹製五本指。
 絹は放湿性・抗菌性に優れているから、靴下素材としてすこぶる快適である。
 二、三日連続して使っても、匂うことがない。(昔、実験したことがある)。(旅行なんかに便利かも)。
 ただ弱点は、綿やナイロンに比べると弱いということ。

 夏期は、これはいずれご紹介するが、京都・下村撚糸製の柞蚕靴下を愛用している。
 冬期はもうちょっと厚手の、絹ノイル(絹紡糸)製が具合いい。
 ただ青山では、なかなかいいのが見つからない。
 表参道交差点近くの「ナチュラル・ハウス」にも絹ノイル製の靴下はあるのだが、どうもいけない。
 というのも、右足用と左足用が決まっていて、左右の交換ができないからだ。

 絹製靴下で一番先にヘタるのは、かかとの部分である。
 だから、左右をとっかえひっかえはいて、かかと部分の消耗を抑える必要がある。
 それができないナチュラル・ハウスの靴下は長持ちしない。
 青山通りを下った「無印良品」には、そもそもそんなものは置いてない。

 一番良い絹五本指は、おそらくコテコテの自然食品店に置いてある。
 東京・多摩地区だと、たとえば「キヴァ」とか。
 じつは三日前、羽村のキヴァまで出かけて、しこたま買ってきたのだ。
 なにしろ、三谷展で店頭に立ってたときも、けっこう足許の靴下は穴あきだったし。(それで青山を探しまわった)

 更にキヴァで、おもしろいものを見つけた。
 セスキ炭酸ソーダ(Na2CO3・NaHCO 3・2H2O)なるもの。
 ちょっと得体が知れないけど、洗剤の替わりになるんだそうだ。
 いずれまた使用レポートを掲載いたそう。


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