いといと雑記帳 2008前半

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2月5日(火) 冬の贈り物

 十日ほど前の1月25日に、私田中ぱるばインドより帰国。
 ひと月ぶりの日本の寒さは、新鮮で気持ち良い。
 ことに一昨日早朝からの大雪は、冬の贈り物だ。
 交通は麻痺し、雪かきに苦労するが、あの銀世界には代え難い。
 あと2〜3回は降ってほしい。(できれば竹林Shop閉店日に)

 冬の贈り物といえば、雪ばかりではない。
 四年ほど前から、冬になると毎年わが家の庭にやってくる小鳥、ルリビタキ。
 三年前に一度本頁でご紹介して、よもや覚えてる方もおるまいが、また今年も還ってきた。
 本日は、わが薪割り台の上、雪をバックに、記念写真をパチリ!
 おそらく同一個体なのだろう。
 あんな小さななりをして、シベリアあたりからだろうか、海越え山越え、こんな辺境の山里まで、迷うことなく還ってくるのだから立派!!
 ご褒美をあげたいのだが、近づくと逃げてしまうので静かに観察するほかない。
 やはり野に置け青い鳥。

2月9日(土) 雪見温泉

 四日ほど前「あと2〜3回は降ってほしい」と書いたら、ホントにもう2回も雪が降った。
 最近よく願いが叶うので気をつけねばなるまい。(しかし「Shop閉店日」ではなかった)
 その2回目の今夕、店を閉めて、スタッフを駅まで送り、その足で近所にある温泉「瀬音の湯」へ赴く。
 今日は一日寒かったので、雪を見ながら温泉につかろうと思ったのだ。

 この温泉、昨年4月に当「あきる野市」が主体となってオープンした立ち寄り湯だ。
 当初いろいろ騒がれたが、なかなか評判が良いみたい。
 一年間の利用者目標数をかなり前倒しでクリアしたという。
 逆に言うと、思ったより混んでいるということだろう。
 平日の夕方などはわりあい空いている。

 竹林Shopから車で十分ほど。武蔵五日市駅からはバスの便もある。
 近辺に幾つもある立ち寄り湯と差別化を図るため、ちょっと気取った雰囲気だ。
 浴衣姿のオジサンオバサンが広間でゴロゴロ、っていうのがない。
 そもそも広間がない。
 だからそういうのを期待してくると、ガッカリするかも。
 加温のために石油ばかりでなく近在の製材所の木屑を使うっていう気取りもある。
 温泉はぬめっこいアルカリ性の湯質。
 内湯は掛け流しということで、ほのかに硫黄臭もして温泉らしい。
 露天は循環なので消毒のための塩素臭がする。

 でも今日は雪見なので露天風呂に入る。
 頭上にひさしがないから、雪見というより雪浴だ。
 頭寒足熱の極み。
 こんな天候なのに、土曜のせいか、けっこう客が多い。
 山の中だから、みんな帰り道の心配をしながら、それでも長湯をしている。
 私もノーマルタイヤの軽自動車で来たんだが、ま、なんとかなるだろうと長湯をする。
 降りしきるボタン雪の中で湯につかるなんて、年に何度もあることじゃない。
 露天や内風呂やサウナを行ったり来たりして、たちまち一時間が経過する。
 「雪のため五日市駅行きの最終バスは運行中止します」というアナウンスが入るが、軽く受け流す。
 風呂上がりに、隣接する和食処「川霧」で食事をする。
 ここもけっこうマトモなものを喰わせる。

 そんなこんなで、8時近くに駐車場に戻ると、車の屋根には既に5cmの積雪。
 フロントガラスの雪を払い、敢然と走り出すが、数百メートル先の急坂であえなく立ち往生。
 駐車場に戻ることもままならず、万事休す。
 結局、そこに車を放置し、降りしきる雪の中、山里の道を歩いて家に向かう次第となる。
 あたりいちめん白一色。笠地蔵の世界。
 温泉効果か、ちっとも寒く感じない。
 こうしてパソコンに向かっているんだから、たぶん無事帰宅できたのであろう。
 問題は、明日どうやって出勤するかだ。

 教訓:雪見するならチェーンくらい積んでおくべし。

 2月18日(月) ディスカバー・ゴロ寝場

 寒い冬は温泉に限る…
 というわけで、ここのところ週に一度は仕事帰りに瀬音の湯に出向く。
 ここで先日の記事に訂正をひとつ。
 「ゴロゴロする広場がない」と書いたが、本日、ゴロ寝場を発見したのだ!!
 カフェの隣にあった。
 小さく仮眠室という張り紙がある。
 入ってみると、若いカップルが寄り添って眠っていたりして微笑ましい。

 気取った施設であるここ「瀬音の湯」設計図には、もともと無かった場所だ。
 聞くところによると、開湯後、ゴロ寝場の要望がものすごく強く、仕方なく作ったんだそうだ。
 カフェスペースの一部を仕切った、天井の高い三十畳ほどの部屋だ。
 座布団も置いてある。毛布や枕はない。
 だから皆さん、湯につかった後は、ゆっくりゴロ寝もできるのである。
 ついでに言うと、このゴロ寝場は、入湯料を払わなくても入場できる。
 だから、竹林Shopに来て、どうしてもゴロ寝したくなった人は、ここに来ればいい。
 まあ竹林母屋の二階で寝てもらっても構わないが。(ただし暖房はない)


2月22日(金) 一徹な日々

 ここのところ好天が続く。
 今日など春のような陽気だ。
 その陽光のもと連日、クワを振り上げては畑を耕している。
 その姿はなんとなく星一徹を思わせるものがある。
 (星一徹氏は道路工夫をしながら「巨人の星」を育てた)

 実は先日、隣家から畑を三十坪ほど新たに借りたのだ。
 この山里でも年々高齢化により耕し手が少なくなっていく。
 たとえば、インパールに出征した松五郎おじさんも、昨秋体を悪くして今はお休みだ。
 頑丈な腰つきをした土屋のおじさんも、ここのところめっきり衰えてきた。
 草だらけにしておくより、誰かに耕してもらったほうが都合良い。
 それでほとんど無償で畑が借りられる。
 三十坪というと小さいようであるが、よく都市近郊にある「一坪農園」のじつに30倍!!
 かなり「耕しで」があるのである。

 まだ冬場だから、土づくりだ。
 種まきに向けて、様々な有機資材を投入する。
 竹林のケヤキ葉と生ゴミを発酵させた自家製の堆肥。
 タンドール(炭火竈)や薪ストーブから出た灰や木炭。
 農協から買ってきた過リン酸石灰。(原料が鳥の糞なのでいちおう有機資材)
 近所の養鶏場から買ってきた発酵鶏糞。
 ホントは人糞を使えば循環として理想的なのだが、今のところ難しいから鶏糞で代用。

 「豊作のまず手始めは土づくり」と農協の広報には書いてあるのだが…。
 これだけ手間ヒマかけても、あんまり豊作になったためしがない。
 ガンコに無農薬有機に努めているせいか。
 硫安でも施せばガーンと太るんだろうが、だったら買った方が早いしね。
 というわけで今年もまた、チマチマした自家製野菜が竹林メニューの隅っこを飾ることになるであろう。


2月24日(日) 小鳥のセンス

 昨日、関東地方では春一番が吹いたそうだ。平年より9日遅いという。
 一日中強風が吹き荒れた。
 そうした翌日、竹林に来てみると、けっこう大変だったりする。
 敷地のあちこちでいろんなことがあるのだ。
 今回は被害甚大だった。

 たとえば、入口の看板が根本からポキリと折れた。
 一昨年9月に大工の森屋棟梁が苦労して設置してくれたものだ。
 台風シーズンを二度越えたのに、今回はよっぽど強風だったのだろう。
 さっそく棟梁に電話すると、「ああ、またやってやるよ」との答え。
 3月7日からの「新井淳一展」までに間に合えば良いが。

 あるいは、枯れ枝が車の上に落下して塗装を傷つけたり。
 せっかく掃除してまとめた枯葉がそこらじゅうに散乱したり。
 枯れた孟宗竹が根元から折れたり。(ただしこれは良い燃料になる)

 被害は我々ばかりではない。
 木の根元にはこんなものが落ちていた。
 小鳥の巣だ。(右写真)
 手の平に載るほどの大きさ。

 コレ、観察してみると、よくできている。
 外側はコケ(緑)とポリエチレンテープ(白)。
 このテープ、私たちがよく包装に使う薄いテープだが、普通はもっと幅が広いものだ。
 まさか小鳥が裂いて使っているわけじゃあるまいから、細くちぎれたやつをせっせと集めた来たのだろう。
 内側はシュロであろうか、天然繊維でキメている。
 すなわち、表地と裏地で素材を変え、色も違えているわけだ。
 さすが、当スタジオの近くに巣くう鳥は、センスも違う!(わけないか)。
 化学繊維を上手に使うあたり、アライラマ風!?


3月17日(月) コンポスト

 すっかり春めいた今日この頃。
 ここ東京・五日市も今まさに梅が満開。
 野良仕事も楽しい季節だ。

 今日は竹林にコンポストを据える。
 コンポスト、知ってるかな?
 堆肥製造器だ。
 まあ、製造器ったって、でかいポリバケツみたいなもんだけど。
 バケツの底がないものと思えば良い。
 そこに生ゴミを投入すると、堆肥になる。

 しかし、ただ投入するだけじゃイケナイ。
 秘訣があるのである。
 ぱるば式堆肥製造法は;
 まず、前もって多量の枯葉を入れる。
 それから生ゴミ投入。
 その上から、米ぬかをぶっかける。
 そして、フォークでよくかきまぜる。

 竹林にはケヤキが幾つもあるから、枯葉には困らない。枯葉に棲息する細菌類と、適切な隙間により、好気性発酵が促進される。
 米ぬかは近所の農協から買ってくる。米ぬかに含まれる糖分により、発酵が更に促進される。また窒素やリン酸などの肥料分に富む。
 フォークというのは食器じゃなくて、よく枯草積みなどに使うでかいやつ。スコップよりかきまぜるのがグンと楽。
 そうしてフタをしておくと、数週間して堆肥になる。
 その堆肥を畑に入れるのだ。
 そしてできた野菜が竹林カフェで供される、という循環になるわけ。

 さっそくスタッフに使用法を指導する。
 使用法ってったって、彼らはただ生ゴミを投入するだけ。あとの秘訣部分はぜんぶ私がやるのである。
 ともあれ、これでゴミ減量になるし、有機肥料はできるし、一石二鳥だ。(運動にもなるし)
 あとは野菜づくりのウデだけだ。(これがチトこころもとない)


3月18日(火) 枯れ枝・枯れ竹

 毎週月曜・火曜は、私ぱるばにとってチャンスである。
 竹林Shopが休みなので、思うぞんぶん庭仕事ができるのだ。
 駐車場まわりで竹や木を伐り倒したりなど、お客さんがいるとなかなかできない。
 騒音すさまじきチェーンソーも御法度だ。
 思いっきりセンスの悪い労働着を着てもOK。(ホントはOKじゃないんだが、スタッフ一同ガマンしている)
 六百坪近くあると、することもいろいろあるのだ。
 ちゃんと気を入れておかないと、お客さんに申し訳ない。

 毎年、けっこうたくさん、枯れ枝、枯れ竹が出る。
 敷地にはケヤキの大木が幾つもあるが、木の成長に従って、枝が枯れるのだ。
 葉陰となった部分の古い枝が枯れる。
 それが強風で折れて落ちてくる。

 竹について言えば、毎年タケノコから成長する分、枯れる竹がある。
 枯れた竹をそのままにしておくと、やがて縦に亀裂が入り、根元が腐って倒れる。

 枯れ枝にしても、枯れ竹にしても、昔は大切な資源であったろうと思われる。
 乾燥しているから、よく燃えるのだ。
 枯れ枝は焚き付けに重宝する。
 太目の枝をナタで撲ち折ると、なかなか得難い細目の薪になる。

 枯れ竹は草木染めに便利だ。
 ガッと燃えてサッと尽きるから、扱いやすい。
 亀裂が入っているから破裂することもない。
 今日はかなりたくさん枯れ竹燃料を調達したので、せいぜい糸や布を染めて欲しいものだ。


3月30日(日) ニルー姉弟のTokyo布紀行

 Makiのパートナーである、インドのテキスタイルデザイナー、ニルー・クマール。
 先頃、とある用事で来日する。
 今回は弟のラレットを伴い、四日ほどの滞在だ。
 彼女自身は三度目、ラレットは初の来日であった。
 (右写真は26日、竹林でのニルー姉弟。右端がラレット)
 昨日は一日空いていたので、私ぱるばが東京の布スポットを案内する。

 朝、新宿のハイアットホテルを出発。電車に乗ってまずは自由が丘にあるカディ岩立へ。
 展示スペースには今、ネイティブアメリカンなど北米の染織品が並んでいる。
 岩立広子さんが奥から出してきた東北地方の刺し子や襤褸(ボロ)に、ニルーいたく感心。

 続いて、なつかしき青山へ。
 まずはギャラリー川野にて古着を見る。藍地蚊絣(かがすり)の木綿着物を見つけて、ニルーご満悦。紺色の地に細かい十字型の絣模様が入っているものだ。
 すぐ近くにあるカフェ・ファーリでランチ。これはMakiのOG金森愛の店で、彼女の染織作品も展示されている。ボリュームたっぷりの野菜カレーを注文。ベジタリアンの姉弟には有難い。私は日替わりの和食。これもオススメだ。北欧風の店内でしばし旧交を温める。開店直後で私たちが最初の客であったが、その後次々に客が押し寄せ、これは引き寄せの法則か!?
 名店「古民藝もりた」を訪ねる。絹や上布の蚊絣にニルーため息。彼女は藍と絣が大好き。手織の古着は風合いも違う。クルタ(インド風上衣)に仕立ててインドで常用している。
 姉弟の希望でかつてのMaki青山店に足を伸ばす。私にとっては二年前の閉店以来初。あまりの変わりように諸行無常を感じる。

 地下鉄に乗って清澄白河へ。
 ヨーガンレールの店に向かうのだが、道中、とある店の前でニルーが「ブリジッド・シンだ!」と言って足を止める。
 ブリジッド・シンとは、インド在住のフランス人テキスタイルデザイナー。ニルーの知人で、主に型染めの木綿薄地をつくっている。店は「Saloon de Sarasa(TEL03-3642-2710)」という名で、オーナーの中川さんがブリジッドの日本代理店をしているということ。中川さんはかつてインドでニルーに会ったこともあるということで、思わぬ再会となった。
 ヨーガンレールの店「ババグーリ」はそこからすぐ。ババグーリとは、インド・グジャラート州のとある小村に産する瑪瑙の小石だとのこと。この店については今さら紹介する必要もあるまい。清澄庭園の桜がきれいであった。

 再び地下鉄に乗って銀座に向かう。三越前駅での乗換がおそろしく長距離。おそらく地下鉄乗換最長記録であろう。銀座松屋で開催中のMaki展示会を見学する。
 夕食は松坂屋向かいのインド菜食料理店「ナタラジ」。松屋に出かける時はいつもこの店で食事をする。
 更に有楽町まで歩いて、ビックカメラに入店。デジタルカメラを見たいのだという。じつはここの社長M君が我が従弟なので、その名を告げるとVIP待遇になる。一眼デジカメが欲しいのだが夫のアジェイに相談したいというので、国際電話までかけさせてもらう。デジカメ二台とラジコンカーを買って今日のプログラムは終了。
 山手線に乗って新宿まで行き、徒歩でホテルまで送り届ける。時刻は十時半を回っている。ニルー姉弟は翌日朝の出発なので、これから荷造りだ。インドから持参の土産をもらって別れを告げる。(私にはパシミナのショートマフラー!)
 五日市の拙宅までそこから二時間近くかかるのだが、不思議にあまり疲れを感じない。ほとんど家族みたいなもんだから、気を使わなくて楽なのだ。
 今ごろデリーの自宅に到着し、土産話に花を咲かせていることだろう。

 そういえばニルー、おもしろいことを言っていた。92年、01年、08年と三度の来日になるが、来るたびに日本人のお辞儀の角度が浅くなっているというのだ。
 16年前の92年には、みんなもっと深々とお辞儀をしていて、それが印象に残ったそうだ。


4月4日(金) カタクリ

 竹林にカタクリの花が咲いた。
 毎年今ごろになると咲く。
 可憐な紫色の花だ。
 三十株ほども花をつけている。
 今が盛り。
 場所は入口右手の藪の中。

 ユリ科の多年草。
 鱗茎(地下茎)からカタクリ粉ができる。
 もちろんウチではそんな使い方はしない。
 花を観賞するのみ。
 香は特にない。

 Shop右のスモモも今が満開。
 お運びあれ。


5月2日(金) 大阪へ引っ越し!

 真木テキスタイルスタジオ、東京から大阪に引っ越す。
 と言っても、ホームページ・サーバの話。

 お気づきになった方もあろう。一昨日の夕方から昨日の夜にかけて、Makiのホームページは24時間以上アクセス不能であった。
 これは私が悪いのではない。東京八王子のサーバ(接続業者のコンピュータ)がダウンしていたのだ。
 このサーバ、値段が高い上にクオリティがイマイチ。ときどきダウン(接続不能状態)が起こる。
 それで私も見限って、ボツボツと別のサーバに引っ越しの準備をしていたのだが、その矢先に、また今回のダウン事件。
 昨日の朝、八王子のサーバに電話して様子を聞こうと思ったら、本日休業とのこと。
 それで急遽、意を決して、昨日朝から大阪のサーバに引っ越しを試みていたというわけ。

 サーバの引っ越しなんて初めてだからね。
 今朝になってやっとドメイン情報も浸透したようで、無事、ホームページも大阪から発信されているようだ。(と自分で書きながら意味がわかっていない)
 これできっとダウンも少なくなるであろう。(希望的観測)
 今日は今月10日からの「竹林の初夏」展インフォもupするつもりなので、また見てね!


5月4日(日) キクラゲ

 竹林にはケヤキの大木が七本ほどある。
 ケヤキはどんどん外側に枝葉を伸ばす。
 すると、内側にある枝は日が当たらなくなって枯死していく。
 そこに、木耳(キクラゲ)が生えるのだ。
 そんな枯れ枝が何かの拍子に落下でもすると、その木耳が手に入る。
 すると私なぞ、色めき立って、採取する。

 フレッシュな木耳だから、貴重な食材なのである。
 ところが、競争率はほとんどゼロ。
 ウチのスタッフは気持ち悪がって、誰も手を出さない。
 キノコなんてものはスーパーマーケットに生えるものだ、と思ってるらしい。

 昨日も採れたのである。木耳。
 枯れ枝の落下があって。
 おりしも味噌汁を作ろうと思ったところであったから、これは天恵であった。
 それで色めき立って採取したんだが、やっぱりスタッフは気持ち悪がっている。
 珍味なのだよ、これは。

 というか、味はほとんどないから、珍感というところか。
 非常に珍しい食感である。まさに木のクラゲといったところ。
 味噌汁の身にして飽食した。
 今朝になっても元気であるから、少なくとも毒はないのである。
 栄養あるかは定かではないが、食糧自給率upには貢献している。


5月9日(金) カフェの初夏メニュー

 明日から始まる「竹林の初夏」展用の新メニューご紹介。
 その名はドーサ。
 インド国内で人気の南インド料理だ。

 日本のクレープに似ている。
 違うところは、原料の7割以上が米だということ。(その他は豆)。
 米や豆を水に漬け、粉砕してから少々発酵させ、鉄板で焼き上げる。
 香ばしくて美味。
 原料の米は、信州上田のコシヒカリ。
 世界広しと言えども、コシヒカリでドーサを作るなんてMakiのほかあるまい。
 ドーサの中には「マサラ」が入っている。マサラというのは南インド風ジャガイモ料理だ。カレーリーフなど南インド特産のスパイスを使って作る。

 下写真・左のドーナツみたいな物体はワーダ。これも南インドの人気スナックだ。豆(ウラド豆)を主にして作る。
 写真・中右の茶色いスープはサンバル。南インドの味噌汁だ。これも豆(トルダ豆)を主にして、いろんな野菜を多様なスパイスで煮込んで作る。
 奥に三つ並んでいるのがチャツネ。左から、トマトチャツネ、コリアンダーチャツネ、ココナツチャツネ。これも様々な野菜とスパイスを調合して作る。これはかなり絶品である。

 このドーサやワーダを、サンバルスープやチャツネと一緒に食べる。これはゴキゲンである。最近何度かカフェで供してみたが、日本人の口にも良くあって、好評! 
 みなさんもぜひご賞味あれ!

5月13日(火) 脇役
 先日ご紹介した初夏メニューの「ドーサ」。
 これも日々進化しているのである。
 今日はその脇役をご紹介しよう。

 まずは「インチク」。
 これは竹林の孟宗竹タケノコから作る。
 タケノコはどっさり生えるから、それを取ってきて、カマドでぐつぐつ煮る。燃料は主に竹。
 これぞ地産地消。その距離わずか20m。燃料も竹林産だからかなりエコである。(写真左上)
 それをインド風に調理する。
 マンゴーパウダーやクミン、赤・青トウガラシなどを使う。
 タケノコはインドにはないので、まさに竹林オリジナルだ。
 シナチクに似たテクスチャで、ピリリと辛い。
 これを「インチク」と名づける。
 右写真中央のシナチクみたいなのがそれ。
 ただ季節物だからね。5月いっぱいかな

 それから昨日より、サラダの具はレタスに。
 毎朝、近所のおじさんが朝どりレタスを届けてくれるのだ。(写真左下)
 おじさんというのは私ぱるばだが、今は連日、サラダ菜やサニーレタスを間引き収穫している。
 じつは、この間引きレタスがいっちゃんウマイのだ。
 これは作ってる者しかわからないけど、市販されている立派な大人レタスより、柔らかくて、小味で、香り高い。
 とりたてだからかな。シルキーレタスと名づけたい。
 もちろん無農薬有機栽培。
 今年は畑を広げたので、おそらく6月いっぱい朝どりレタスを届けられると思う。
 
 ところでこのドーサ、かなり好評なので、メニューとして定着しそうな模様だ。
 今のところ、毎週・木金がドーサの日になるらしい。
 手前味噌で恐縮だが、国内にイン飯屋数ある中でこれはなかなかの出来である。
 配膳されたらおしゃべりしてないで熱いうちに食べるのがミソ。
 ドーサ(皮の部分)やサンバルスープはおかわりもできる。

5月24日(土) 能装束

 竹林の近所に観世流能楽師の中所宜夫さんがお住まいだ。
 自宅の地下には能の練習場もあり、能楽関係のイベントもしばしば催される。
 昨日は「能装束から視る日本文化と能」という催しがあった。
 京都から能装束研究家の山口憲さんを招いての三回シリーズ講演会。
 山口さんは、研究のみならず、自ら能装束を復元している。
 これはちょっと見逃せない。

 能楽師の中所さんによると、能の世界には江戸時代から伝わった装束が今も使われているが、そうした古い装束に比べると、新作の能装束はどうもクオリティがイマイチだ。
 なぜか?
 山口さんによれば、それはもう、根本的に別物だということらしい。
 そもそも、江戸時代の能装束は、将軍家や大名から下付されたものも多かった。
 当時の工芸技術の粋を集めた作品なのだ。
 
 まず、糸が違う。
 江戸時代の養蚕業においては、通算して千種類もの蚕の品種が育てられていた。
 その中で現在伝わっているものは、小石丸、又昔、世界一、青熟、赤熟など。
 だから糸のバラエティもいろいろあったことになる。
 ただし、能装束に使うような布を作る場合、多種類の繭を混ぜることなく、同一産地の同一品種のみを使ったそうだ。
 いずれも現行種より小さな繭で、そこから出来る糸も、今のものに比べて、細くて強くて軽やかだ。
 そしてもちろん、座繰り機を使って手で引く。
 引き方にもいろいろ工夫があって、たとえば引いた後の乾燥工程も、その日の天候により微調整が施される。
 また、生糸の精練(糸の外側にあるセリシンというニカワ質を落とす作業)には稲ワラの灰を使うのだが、原料のワラは餅米が良い、等々。
 かくして出来あがった絹糸は、今のものに比べて色つやが良く、時間が経っても黄ばむことがない。
 そして、染色にもいろいろ工夫が施される。もちろん天然染料なのだが、やはり染材の産地にこだわるなど様々な要素がある。

 こうしたすべては、山口さんが江戸期の能装束を実地に検分し、また文献を当たって調べたものだ。
 しかし、今となっては不明なことも多いらしい。
 それで山口さんいはく、江戸時代の能装束を完全に復元することは不可能だ、ということ。
 ともあれ、みずから二十六種にもおよぶ在来の蚕種を飼育し、昔ながらの手法で糸を引き、染めを施し、布を織り上げている、その情熱は並大抵のものではない。
 そうして出来上がった能装束は、中所さんによると、江戸時代の装束のように軽やかだという。
 何百年も継承されてきた、世界でも珍しい芸能だからこそ、こうした発見もあるのだろう。

 写真は源氏の武士(講演会案内状より)。装束には金箔がふんだんに織り込まれている。
 次回の講演は6月6日(金)6PM〜 能装束に使われる紋様のお話だ。詳しくはこちら

6月8日(日) 500%の恐怖

 ここのところ毎朝、畑に出て二時間ほど農作業をする。
 地元の古老たちから、「辛抱いいねえ」と声をかけられる。
 これは養沢語で「頑張るねえ」という意味。
 頑張らざるを得ないのだ。

 2月22日の日誌にも書いたが、今年から新たに三十坪ほどの畑を借りた。
 当時は早春の日差しのもと、有機資材をいろいろ投入しつつ、のん気に耕していたものだ。
 それから三月半ほど経って…。
 とにかく、野菜が良く育つ。
 オニのように育つ。
 竹林カフェに納入しても、消費がまったく追いつかない。
 日本の食糧自給率は39%だそうだが、野菜に関する限り当家の自給率は現在500%を超えるだろう。

 どうしてそうなったかいろいろ考えた。
 まずこの新しい畑は過去2〜3年、何も作っていなかった。だから休養たっぷり。
 もともと肥えていたのかもしれない。
 そして今年は雨が多かった。特に土曜日など、4月5月はいつも雨だった。
 「雨が多いと野菜は育つ」と近所の古老は言っている。

 大根もカブもレタスも、今まで見たことないほどデカい。
 少しずつ時間差で育ってくれると良いのだが、みんないっぺんにデカくなり、みんないっぺんに収穫期だ。
 もたもたしていると、トウ立ちしたり、裂根したり、葉腐れしたり。
 作柄が良いだけに、無駄にしたらもったいない。
 だから必死の農作業。
 隣近所、親類縁者に配給しまくっている。
 これを読んでいる皆さんの中で野菜の欲しい人、竹林まで来てもらえたら、進呈しましょう。(前もって連絡必要)
 無農薬有機だよん♪
 

6月23日(月) お米のデザート

 雨模様の月曜日。
 人影もまばらなキッチンで、ラケッシュ君が何やら作っている。
 おかゆかなと思ったら、どうもそうではないらしい。
 キールというインドのスイートだ。

 まず米を煮ておかゆのようにする。
 その上で、ミルクと砂糖、カルダモン、フェンネル、ナッツ類を加えて出来上がり。
 ナッツ類とは、ココナッツ、カシューナッツ、アーモンド、レーズンだ。

 キールを作ったのは今日が初めて。
 そういえば先ほどインドに電話していたが、お母さんに作り方を聞いていたらしい。
 インドでは新年や誕生日、祭日などに家庭で作って食べるという。
 温かくても冷やしても良い。

 さっそくできたてを試食する。
 今日は温かバージョン。
 西洋のライスプディングに似ている。
 ミルキーで、ナッツ類が香ばしい。
 私(ぱるば)的にはかなり好きかも。
 皆さんのご要望があれば、カフェメニューに登場も!!


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